■春衡伯爵家の事情 (菊月太朗)
★まんがデーター [20.0/20.0]
・絵柄 :●●●●●
・お話 :●●●●●
・漫画 :●●●●●
・独創性:●●●●●
・属性 : [成年] 時代、メイド、ラブコメ
・構成 : 初単行本、7話収録(全て表題作・1巻完結?)
・おまけ: あとがき、合間に作品解説、参考文献、加筆修正あり、
カバー裏に「春衡伯爵家の事情」が出来るまで。
本との出会いは一期一会、漫画もまたしかり。
本日紹介は「菊月太朗(きくづき・たろう)」センセの「春衡伯爵家の事情」です。
※文
【 構成・絵柄 】
収録は全て表題シリーズです。
同人誌で発表されていた漫画をまとめたもの、でいいのかな。
加筆修正があり、全くそのまま収録ではないらしく。
持っている人は…違いを見比べるという楽しみができると思います。
なお、収録話はちゃんと終わっていましたが、お話には別ルートがあるようで。
続巻ではないでしょうけれど、シリーズの漫画はまた発売がありそうでしたよ。
”明治浪漫の旗手”
そんな冠をつけられたセンセですが…そんなんは伊達でありません。
ちょっと読み進めれば、中扉カラーページ(特に後ろ側)での、いかにも楽しげなイラストからは想像もできないような、よく描写された世界に圧倒されることと思います。
詳しくは後述しますが、単にラブコメ漫画としても優れていて。
こちらが驚かされる、高い完成度の1冊でした。
オススメします。
しっかりとした強めな線での作画。
描き込み・色付きはしっかり。
お話の事情も手伝って、濃淡は濃い目です。
コマ割りは変化少なく安定。
おおむね枠間は確保されていて、それなりに白比率があり。
絵柄はぎゅとした濃さありつつも、コッテリ見易い原稿でした。
全体丁寧で安定していて、乱れ・崩れはありません。
解説などで書かれているように、こだわりの背景や小物は見事。
特に意識しなくとも、そのたっぷりとした雰囲気を感じられると思います。
また、それでいてメリハリあるので、主張し過ぎな印象もありません。
人物らも同様で、良い意味で普通にラブコメちっく。
適度にコメディー崩れし、また可愛く描かれていました。
そうした、ほどよい加減は見事。
ソレっぽくないテイストでの成年漫画がたっぷり楽しめると思います。
カラーはまたその良さあるのですが、判断は↓表紙・裏表紙で大丈夫。
個人的には白黒絵のが味あって好きです。
【 収録話 】 7話収録
005:「春衡伯爵家の事情 壱」
033:「春衡伯爵家の事情 弐」
061:「春衡伯爵家の事情 参」
097:「春衡伯爵家の事情 肆」
124:「春衡伯爵家の事情 ~コルセット篇~」
133:「春衡伯爵家の事情 ~令和篇~」
185:「春衡伯爵家の事情 ~産養~」
時は明治20年。
「静」はとある伯爵家、春衡家に女中として御奉公に上がったのでした。
そんなんがオープニング。
ごく簡単には、一族男子と仕える女中らのラブコメ話です。
メイドさんらとイチャイチャ…ってな漫画ですわね。
あとがき、解説の詳細な文面からだいたい察せられると思いますが…。
書かれていた「時代考証に6カ月以上」という努力っぷりは半端なものではなく。
いわゆる、”普通の成年漫画”とは大きく外れた、あちこち描写に優れる傑作漫画というべき仕上がりです。
素直に凄いなぁ、って感じました。
特に意識なくさらっと読んだだけでも、そんなんはじんわり伝わってくることと思います。
…で、それでいて。
普通のラブコメ漫画としても出来は十分に素晴らしく。
妙に硬くなり過ぎることもなく、うまーいこと漫画サイズに落とし込まれていたような印象。
ヒロインらはごくごく可愛らしく、また成年系として損させないエロス感がありました。
ただ、そのこだわりは普通に読むには多少のマイナス点にもなってます。
作中の台詞、単語などもしっかり時代がかっており、また各登場人物は春衡家の面々に対し、憚って直接名を呼ばないなどなど、ちょっとぱっと分かり辛いところもありました。
些細な事ですけどね。
まぁ、単純にえっち追いたい人は、周辺事情すっ飛ばして読み進めちゃうんでいいと思います。
そんなんでも十分楽しめるので。
※左:静、右:雪子
【 春衡伯爵家の事情 登場人物 】 ※ネタバレ避けるため説明は最小限です。
■壱。
「春衡芳朝」 とも。菊じるし様。学者莫迦。
「静」 芳朝付き女中。父親は五位様の教師。彼女も英語が堪能。
■弐。
「春衡芳則」 五位様。若殿様。春衡家嫡男で事業を成功させていて、人望も厚い。
「雪子」 若奥様。芳則の妻。もともとお姫様育ち。
■参。
「春衡芳竹」 殿様。西洋好き。妻「梅子」は故人。
「文」 御台所付き女中
■肆。
「春衡芳成」 元服したばかりの八男。
「ヒバリ」 女中。
■令和。
「春衡芳郎」 嗣子。
「二荒敬子」 小松さま。芳郎と婚約。
「セッカ」 敬子付き女中。有能。
「鹿島光子」 教師。
冒頭話、壱は「ともさま」と「静」さん。
今回の↓表紙でおっぱい見せてくれているのが彼女です。
店頭で釘付けにされると思います(笑)
なお、途中で顔を見せていた「雪子」さんと「五位様」は次のエピソードでのカップルです。
こうした演出はいいですね。
シリーズ各話にちらほら描かれてました。
「笑ったらきっと可愛いのに~」
そう言われていたくだりの「静さん」が百面相していて良いですね。
彼の前では努めてそう振る舞っていたんでしょう。
中盤、ベッドでの単独プレイは…メイドの特権みたいなもんですわね(笑)
これ成年漫画なので、当然ながらバレてしまうんですが。
まぁ、切っ掛けとして結果オーライでしょう。
弐はお姫様育ちだという「雪子さん」と、若殿である「五位様」
前話の「静さん」も登場していて、「ともさま」とはまた違った表情が見れるのですが。
合間の解説を読んだ後に見ると、また違った感覚が味わえると思います。
こちらのプレイは、いわゆるメイドものでの定番。
拘束具が楽しめますが…ラブコメ好きな人にはややハード気味。
ただ、あーした後での「雪子さん」の一言は素敵でした。
参は登場ヒロインで最もロリロリとした「文」と殿様。
冒頭シーンは初えっち風景で、漫画のメインはその後にどうなった~というもの。
立場的には、最も主人・メイドという2人なのですが。
描かれるやり取りは、収録では群を抜いて異質で、これはまた非常に面白い。
片手で彼女をひょいと抱えられる体格差がまた良いですね。
いいなぁ。
個人的には「もうひとつ!!」のコマが好きです。
肆は八男「成」くんと「ヒバリ」さん。
冒頭は参の前半に描かれていたシーンと重なっています。
こちらのヒロイン「ヒバリさん」は、メイドさんキャラで必ず需要があるだろう、お姉さんタイプ。
まだ若い彼を優しくリードしてくれていました。
(※それでいて、読者も驚く秘密があるので、お楽しみに)
部屋に向かう前の準備シーンが好き。
個人的には、なんだか必殺シリーズでの出陣シーンが頭に浮かびましたよ。
※左:ヒバリ、右:二荒敬子
続く「コルセット篇」はサービス的な短編。
タイトルそのまま、コルセットでの各カップル模様が描かれています。
見開きの扉絵は4名ヒロインが集合したもので、ちゃんと漫画でのそれと同じデザイン。
ただし、「ヒバリさん」だけは本編に着用シーンないので、そちらでのみ堪能できます。
「令和篇」は明治を舞台とした各話と違って、現代劇。
お話もこれまでと違い、婚約が決まった「敬子」さんが女中「セッカ」と共に春衡家へ潜入するというもの。
リアクションが大きく、ドジっ娘な「敬子さん」が楽しいエピソードです。
(※その隣にて「セッカさん」のスーパーメイドっぷりが凄い)
「芳郎」くんが語るあの話でのシルエットを見逃さぬように。
収録でのラスト産養(うぶやしない)は…簡単には、子供が生まれた際の祝宴儀式のこと。
時代はまた基本である明治に戻っていて。
各話エピソードでの誰かの子供が生まれ(秘密ね)、7日目の夜に皆が集まるというもの。
そうした切っ掛けのため、なんというか、ほっとする空気が漂っていて…。
この単行本に相応しいラストだと思いました。
【 その他 】
そんなこんなで、「菊月太朗」センセでした。
こちらが初単行本とのこと。
おめでとうございます!
今回は店頭でぱっと見た、↓表紙の「静さん」に釣り上げられました。
いやー、凄かった。
このクオリティで成年漫画というのが、また凄いですね。
はー。
個人的には、タイトルの「事情」という単語から察せられるエロス感。
↓表紙にて、おずおずと胸を見せるよう強要されている(…ように見える)メイドさんのイラスト。
そして薄暗い背景色。
…などの要素から、あるいは某PCゲームを彷彿とさせるような、メイド調教漫画だろうと思っていたのですが。
明るいラブコメ漫画で、ひと安心でした。
皆さんもジャンル違いにはご注意。
★よかったな、と思ったらクリックして下さい:【人気blogランキング】
・絵柄 :●●●●●
・お話 :●●●●●
・漫画 :●●●●●
・独創性:●●●●●
・属性 : [成年] 時代、メイド、ラブコメ
・構成 : 初単行本、7話収録(全て表題作・1巻完結?)
・おまけ: あとがき、合間に作品解説、参考文献、加筆修正あり、
カバー裏に「春衡伯爵家の事情」が出来るまで。
本との出会いは一期一会、漫画もまたしかり。
本日紹介は「菊月太朗(きくづき・たろう)」センセの「春衡伯爵家の事情」です。
※文
【 構成・絵柄 】
収録は全て表題シリーズです。
同人誌で発表されていた漫画をまとめたもの、でいいのかな。
加筆修正があり、全くそのまま収録ではないらしく。
持っている人は…違いを見比べるという楽しみができると思います。
なお、収録話はちゃんと終わっていましたが、お話には別ルートがあるようで。
続巻ではないでしょうけれど、シリーズの漫画はまた発売がありそうでしたよ。
”明治浪漫の旗手”
そんな冠をつけられたセンセですが…そんなんは伊達でありません。
ちょっと読み進めれば、中扉カラーページ(特に後ろ側)での、いかにも楽しげなイラストからは想像もできないような、よく描写された世界に圧倒されることと思います。
詳しくは後述しますが、単にラブコメ漫画としても優れていて。
こちらが驚かされる、高い完成度の1冊でした。
オススメします。
しっかりとした強めな線での作画。
描き込み・色付きはしっかり。
お話の事情も手伝って、濃淡は濃い目です。
コマ割りは変化少なく安定。
おおむね枠間は確保されていて、それなりに白比率があり。
絵柄はぎゅとした濃さありつつも、コッテリ見易い原稿でした。
全体丁寧で安定していて、乱れ・崩れはありません。
解説などで書かれているように、こだわりの背景や小物は見事。
特に意識しなくとも、そのたっぷりとした雰囲気を感じられると思います。
また、それでいてメリハリあるので、主張し過ぎな印象もありません。
人物らも同様で、良い意味で普通にラブコメちっく。
適度にコメディー崩れし、また可愛く描かれていました。
そうした、ほどよい加減は見事。
ソレっぽくないテイストでの成年漫画がたっぷり楽しめると思います。
カラーはまたその良さあるのですが、判断は↓表紙・裏表紙で大丈夫。
個人的には白黒絵のが味あって好きです。
【 収録話 】 7話収録
005:「春衡伯爵家の事情 壱」
033:「春衡伯爵家の事情 弐」
061:「春衡伯爵家の事情 参」
097:「春衡伯爵家の事情 肆」
124:「春衡伯爵家の事情 ~コルセット篇~」
133:「春衡伯爵家の事情 ~令和篇~」
185:「春衡伯爵家の事情 ~産養~」
時は明治20年。
「静」はとある伯爵家、春衡家に女中として御奉公に上がったのでした。
そんなんがオープニング。
ごく簡単には、一族男子と仕える女中らのラブコメ話です。
メイドさんらとイチャイチャ…ってな漫画ですわね。
あとがき、解説の詳細な文面からだいたい察せられると思いますが…。
書かれていた「時代考証に6カ月以上」という努力っぷりは半端なものではなく。
いわゆる、”普通の成年漫画”とは大きく外れた、あちこち描写に優れる傑作漫画というべき仕上がりです。
素直に凄いなぁ、って感じました。
特に意識なくさらっと読んだだけでも、そんなんはじんわり伝わってくることと思います。
…で、それでいて。
普通のラブコメ漫画としても出来は十分に素晴らしく。
妙に硬くなり過ぎることもなく、うまーいこと漫画サイズに落とし込まれていたような印象。
ヒロインらはごくごく可愛らしく、また成年系として損させないエロス感がありました。
ただ、そのこだわりは普通に読むには多少のマイナス点にもなってます。
作中の台詞、単語などもしっかり時代がかっており、また各登場人物は春衡家の面々に対し、憚って直接名を呼ばないなどなど、ちょっとぱっと分かり辛いところもありました。
些細な事ですけどね。
まぁ、単純にえっち追いたい人は、周辺事情すっ飛ばして読み進めちゃうんでいいと思います。
そんなんでも十分楽しめるので。
※左:静、右:雪子
【 春衡伯爵家の事情 登場人物 】 ※ネタバレ避けるため説明は最小限です。
■壱。
「春衡芳朝」 とも。菊じるし様。学者莫迦。
「静」 芳朝付き女中。父親は五位様の教師。彼女も英語が堪能。
■弐。
「春衡芳則」 五位様。若殿様。春衡家嫡男で事業を成功させていて、人望も厚い。
「雪子」 若奥様。芳則の妻。もともとお姫様育ち。
■参。
「春衡芳竹」 殿様。西洋好き。妻「梅子」は故人。
「文」 御台所付き女中
■肆。
「春衡芳成」 元服したばかりの八男。
「ヒバリ」 女中。
■令和。
「春衡芳郎」 嗣子。
「二荒敬子」 小松さま。芳郎と婚約。
「セッカ」 敬子付き女中。有能。
「鹿島光子」 教師。
冒頭話、壱は「ともさま」と「静」さん。
今回の↓表紙でおっぱい見せてくれているのが彼女です。
店頭で釘付けにされると思います(笑)
なお、途中で顔を見せていた「雪子」さんと「五位様」は次のエピソードでのカップルです。
こうした演出はいいですね。
シリーズ各話にちらほら描かれてました。
「笑ったらきっと可愛いのに~」
そう言われていたくだりの「静さん」が百面相していて良いですね。
彼の前では努めてそう振る舞っていたんでしょう。
中盤、ベッドでの単独プレイは…メイドの特権みたいなもんですわね(笑)
これ成年漫画なので、当然ながらバレてしまうんですが。
まぁ、切っ掛けとして結果オーライでしょう。
弐はお姫様育ちだという「雪子さん」と、若殿である「五位様」
前話の「静さん」も登場していて、「ともさま」とはまた違った表情が見れるのですが。
合間の解説を読んだ後に見ると、また違った感覚が味わえると思います。
こちらのプレイは、いわゆるメイドものでの定番。
拘束具が楽しめますが…ラブコメ好きな人にはややハード気味。
ただ、あーした後での「雪子さん」の一言は素敵でした。
参は登場ヒロインで最もロリロリとした「文」と殿様。
冒頭シーンは初えっち風景で、漫画のメインはその後にどうなった~というもの。
立場的には、最も主人・メイドという2人なのですが。
描かれるやり取りは、収録では群を抜いて異質で、これはまた非常に面白い。
片手で彼女をひょいと抱えられる体格差がまた良いですね。
いいなぁ。
個人的には「もうひとつ!!」のコマが好きです。
肆は八男「成」くんと「ヒバリ」さん。
冒頭は参の前半に描かれていたシーンと重なっています。
こちらのヒロイン「ヒバリさん」は、メイドさんキャラで必ず需要があるだろう、お姉さんタイプ。
まだ若い彼を優しくリードしてくれていました。
(※それでいて、読者も驚く秘密があるので、お楽しみに)
部屋に向かう前の準備シーンが好き。
個人的には、なんだか必殺シリーズでの出陣シーンが頭に浮かびましたよ。
※左:ヒバリ、右:二荒敬子
続く「コルセット篇」はサービス的な短編。
タイトルそのまま、コルセットでの各カップル模様が描かれています。
見開きの扉絵は4名ヒロインが集合したもので、ちゃんと漫画でのそれと同じデザイン。
ただし、「ヒバリさん」だけは本編に着用シーンないので、そちらでのみ堪能できます。
「令和篇」は明治を舞台とした各話と違って、現代劇。
お話もこれまでと違い、婚約が決まった「敬子」さんが女中「セッカ」と共に春衡家へ潜入するというもの。
リアクションが大きく、ドジっ娘な「敬子さん」が楽しいエピソードです。
(※その隣にて「セッカさん」のスーパーメイドっぷりが凄い)
「芳郎」くんが語るあの話でのシルエットを見逃さぬように。
収録でのラスト産養(うぶやしない)は…簡単には、子供が生まれた際の祝宴儀式のこと。
時代はまた基本である明治に戻っていて。
各話エピソードでの誰かの子供が生まれ(秘密ね)、7日目の夜に皆が集まるというもの。
そうした切っ掛けのため、なんというか、ほっとする空気が漂っていて…。
この単行本に相応しいラストだと思いました。
【 その他 】
そんなこんなで、「菊月太朗」センセでした。
こちらが初単行本とのこと。
おめでとうございます!
今回は店頭でぱっと見た、↓表紙の「静さん」に釣り上げられました。
いやー、凄かった。
このクオリティで成年漫画というのが、また凄いですね。
はー。
個人的には、タイトルの「事情」という単語から察せられるエロス感。
↓表紙にて、おずおずと胸を見せるよう強要されている(…ように見える)メイドさんのイラスト。
そして薄暗い背景色。
…などの要素から、あるいは某PCゲームを彷彿とさせるような、メイド調教漫画だろうと思っていたのですが。
明るいラブコメ漫画で、ひと安心でした。
皆さんもジャンル違いにはご注意。
★よかったな、と思ったらクリックして下さい:【人気blogランキング】