■怪+インモラル (縞浦)
★まんがデーター [20.0/20.0]
・絵柄 :●●●●●
・お話 :●●●●●
・漫画 :●●●●●
・独創性:●●●●●
・属性 : [成年] 人外、ホラー、愛情
・構成 : 初単行本、7話収録(うち「傍の呪い」×2)
・おまけ: あとがき、漫画「傍の呪い~日常編~」、
カバー裏に漫画「この本の傾向」
本との出会いは一期一会、漫画もまたしかり。
本日紹介は「縞浦(しまうら)」センセの「怪+インモラル」です。
★★単行本構成、ほか ★★★
これ…すげー良かったです。
今回、初単行本とのことでしたが…。
成年漫画の未来、その輝き★が感じられるような1冊でした。
ジャンル行けそうなら、オススメです。
収録は7話で、うちた前後編モノが1つ。
まぁ、タイトル通りな作品群。
雰囲気ホラーちっくで、バッドエンドっぽいのもあったんですが…。
そうブラックさはなく。
異形な存在に対する、ヒロインらの優しさ溢れるような…。
ハートウォーミングなつくりです。(本当)
えー、そうね。
ざっくり、「美女と野獣」みたいな感じよ。
(※ひでるさんそれ見てないので、詳しくは知りませんが)
また、ホラーと書きましたが。
そう怖いようなものではないので、苦手な方でも大丈夫だと思います。たぶん。
おまけは、あとがきと描き下ろし漫画が3ページ。
1つは巻末「傍の呪い~日常編~」ということで、収録連続話の別シチュエーション。
もう1つは、カバー裏「この本の傾向」という、登場ヒロイン集合したコメディーちっくなもの。
この6名で会話させたい。
また、中扉は↓表紙とのリンク絵になってます。
※左:「霧亜」・「夜白」、右:「千春さん」
★★絵柄について ★★★
絵柄・漫画など、これといったマイナス点のない、高い完成度。
丁寧さある作画はジャンルもあってか色彩濃いめ。
ただし、そうコテコテしてなく、クリアで見易い仕上がり。
それなりに原稿時期は開きありましたが、全体安定しています。
日常シーンなどの、ちょっとした表現がお上手。
たまに差し込まれるコメディーちっくなんもイイ感じ。
飛び交う擬音など、恐怖・えっちシーンでは勢いあり。
動き、あちこちのバランス感なども優れていました。
また、世界・舞台に説得力を与える背景や小物などに違和感なく。
異形の存在は異様で禍々しく、対するヒロインらは実にキュート。
(※ちょっと尖りある目がまた作品と合っていた、と思います)
両極端というべきその2つが、同じコマに巧いこと収まってました。
判断ですが、カバーなど、カラーだと白黒絵の良さがやや見えないので。
紹介帯のカット絵がいいでしょう。
★★収録話について ★★★ 7話収録
005:「畏敬の恋」
もともとあった祠を潰して、学生寮を建てたため。
旧女子寮、最奥の部屋には祭壇があるという。
寮を見回っていた寮長「夏帆」は、何やら物音がしたその部屋に入ったところ~という流れ。
タイトルを含めて、この単行本を象徴するようなエピソード。
原稿時期もこちらが最も古かったですね。
こちらの異形さんは、包帯ぐるぐるの長い顔・舌と、鱗ある手足が特徴。
トカゲっぽいのかな。
多少ハード目にエロいことサレてはいたものの、そう強引さはなく。
すっかり慣れた現在では、キスから始まったりしてました。
オチでは、彼女あんなこと(心残りのくだり)言ってましたが…。
普段共にしていたら、甲斐甲斐しく世話焼きそうね。
029:「いけにえ」
妹「みお」から相談を持ち掛けられ、久しぶりに地元へ帰省した「あかね」
彼女曰く、友人らと心霊スポットに行ってから、調子が悪いとのことだったのです。
裏表紙はこちらの「あかねちゃん」
3ページ・ラストコマが秀逸。
色々、どっちつかずなモノ(妹のことを本気で案じているか、霊感あるかどうかなど)がバーンと判明します。
続く展開がまた良いですね。
ちょっと強気な「あかねちゃん」が、抵抗できずに流されていく様が素敵でした。
こうしたネタは、やっぱり口だけ抵抗が刺さりますわね。
オチはバッドエンドっぽく、ちょっと心配したのですが…。
カバー裏漫画「この本の傾向」にて、「あかねちゃん」も顔を見せていて。
後日談でしょうか、案外日常生活できているようで、ちょっと安心。
059:「傍の呪い」 前後編
「霧亜(きりあ)」に憑く異形の存在「夜白(やしろ)」
彼を召喚した一族が、繁栄と引き換えに差し出した代償の1人が彼女だったのです。
↓表紙はこちらの2人。
えっち要素を除けば、青年誌とかで連載されていそうな、ダークヒーロー漫画。
お話の展開も王道っぽいのですが…。
それがゆえに、サクっと面白いですね。
まずは「霧亜」・「夜白」の関係を描いた前編。
冒頭は告白シーンなのですが。
どうやら、「霧亜さん」はモテる女子な様子。
学園生活中に介入してくる「夜白」が、エロエロしくて実に素敵。
こんなんもっと見たい。
明らかに彼のが力(能力)強そうでしたが、関係としては対等で、言い合いとかしていて。
それがために、えっち展開になっていました。
既にガッツリ開発されていながら、がんばって抵抗しようとする「霧亜さん」がキュートです。
蔵で発見した書物を元に、小さなビンに「夜白」を封印した「霧亜」
久しぶりに彼に邪魔されない日常を送ることとなったのですが…という後編。
なにゆえ「夜白」が彼女に憑いているのか、過去の儀式はなんだったのか~、といった理由が判明します。
「霧亜さん」の危機に登場するシーンは、まさにダークヒーローしてました。
格好良かった。
その後の展開は、もうお約束ですねー。
こちら、淫魔のため~を建前に、彼女だいぶ素直になっていたので。
また盛り上がる(笑)と思います。
冷静になってから、しっかり悪態ついてる「霧亜さん」が可愛い。
巻末の日常シーンを描いた漫画も良かった。
この2人好き。
ぜひまた他シチュエーション見たいです。
115:「歪な日々」
先祖代々霊媒師の家系で、現在は修行中の祓い師「弐森ましろ(ふたもり・-)」
当主である父親が不在であったため、未熟ながらお祓いをしたのですが。
その夜、どうにも様子がおかしくなっていたのでした。
細かい部分。
「ましろさん」含め、弐森家はパートナーたる使い魔を使役して祓うのですが。
淫魔の力のが強かったのか、使い魔「ムジ丸」は夜になってから苦しみ始め…。
それを助けた(彼自身を処理してあげた)のが、そもそもの切っ掛け。
前半では、可愛らしさあるポ○モンちっくなフォルム。
それが中盤になると、巨大化もしていて、完全なる異形となっていました。
…が。
そもそもパートナーで、あーなってしまったのも不甲斐ない自分がためであり。
苦しむ「ムジ丸」をがんばって助ける「ましろさん」という、実にまたイイお話。
オチはいちおうあーでしたが、あの後どうなるんだろう。
※祓い師「弐森ましろ」と使い魔「ムジ丸」
141:「知らない表情の彼女」
母親同士の仲が良く、引っ越してきた「葉月」の面倒を見ていた「裕太」
村の山には、「山神様」という人外の存在があり。
小さい頃より、よく2人で会いに行っていたのですが…といった導入部。
これまでは、当事者視点でしたが。
こちらは、第三者視点となっていることが最大のポイントです。
「山神様」は、動物…ヤギのような頭と、人っぽい大きい体。
他作品の人外らと違って、そう怖い雰囲気はありません。
いちおう神様ですわね。
もっと禍々しい存在であれば、「裕太くん」の行動はまた全然違ってきたと思いますが…。
彼の心情を察するに、切なく痛くやり切れず。
実に重苦しいお話になっていて、非常に優れた作品(笑)
まぁ、無邪気で距離の近い「葉月さん」に対し、村育ちで距離を取って眺めていた「裕太くん」という回想時そのままですかね。
個人的には冒頭シーンが好き。
たぶん彼…それをネタにするのでは。
175:「わたしたちの在り所」
事故で両親を失った「千春」
親類らにたらい回しにされていた彼女のもとに、「母の兄」を名乗る男性が尋ねて来て。
家に迎え入れてくれたのですが…。
「でも、その代わり、君に頼みたいことがあるんだ」
そう地下室に連れられたのでした。
黒セーラー服・黒タイツが可愛い「千春さん」
伯父の依頼は、とあるモノの世話をすること、でした。
彼女の母は逃げたようですが…。
「千春さん」があーできたのは、人の闇を見てきたがため、ですかね。
あんなんに対し、冷静で優しさを見せる彼女が実に素敵。
「こういうこと…慣れてるから」という台詞が切ない。
そうした彼女に、相手もちょっとした変化を見せてました。
オチは…今後起こるだろう事件を示唆するものでしたけれど、2人にとってはハッピーエンドかな。
このお話も好き。
★★リンクほか ★★★
テーマ : 成年コミック・マンガ
ジャンル : アダルト